カナーレの生地は、尾州・一宮の職人、足立聖さんの手から生まれてきました。60年以上にわたって織機に向き合い、無茶な注文ほど面白がる。眠っているあいだも「どうしたら織れるか」を考え続ける。足立さんに技術とは何かと尋ねると、「コツコツやっているだけの話」と、あっけらかんと答えます。
足立さんが向き合ってきたのは、「ションヘル」と呼ばれる古い織機です。手がかかり、日々の調整を欠かすことのできない生き物のような機械。一方で、つくり手の工夫に応え、多様な織物を生み出すことのできる懐の深さがあります。

カナーレには、たくさんの名作があります。しかしそれ以上に驚かされるのは、その圧倒的な織物のバリエーションです。ひとつの技術を追求するだけではなく、多種多様な依頼に応じて、織物の可能性を広げ続けてきました。
本展では、カナーレを代表する生地やアーカイブの展示・販売、足立さんへのインタビュー映像を通して、その仕事をご紹介します。


現在、カナーレの工場には、足立さんからものづくりを学ぶために飛び込んだ若い職人たちがいます。さらにこの1年間、カナーレに通った2人の受講生がいます。織物の仕組みを学び、手織り機を使いながら、織物の設計、整経から学んできました。使用した手織り機は、カナーレの工場にある織機と同じ規格なので、手織りで考えたものを工場のションヘル織機で生産へとつなげることができます。
会場では、2人が学び考えてきた過程をポートフォリオにまとめています。ションヘル織機によって形になったテキスタイルも、今回初めてお披露目します。ぜひ実際に触れ、その可能性を感じてみてください。

そして、「カナーレのこれから」についてです。
カナーレに通い、現場で織物ができるまでの工程を基礎から学ぶ。そして、足立さんのものづくりに向き合う姿勢、感性に間近で触れる。その時間を、次のつくり手へ開かれた短期研修プログラムとして形にしたいと考えました。ひとりの職人から始まったものづくりを、多くの人へ伝えていく教育の場であり、実践の場。学び、考え、織物に向き合い、世の中へ届けていく。この新しい活動を「カナーレラボ」と呼ぶことにしました。カナーレラボによる研修プログラムの詳細は、机の上の資料をご覧ください。
足立さんが織機と向き合い続けてきた60年。そして小塚毛織とともに歩みを重ねてきたこの17年。ここから始まるカナーレの新しい物語には、みなさんも参加していただけます。カナーレラボが伝えたいのは織物の技術だけではありません。ものづくりに向き合う姿勢、考え続けることの大切さ、そして足立さんの生き方そのものです。みなさんとカナーレのこれからを一緒につくっていけたら嬉しいです。


~~
イベントの概要
●Canale Lab「カナーレのこれまでと、これから展」
●会期
10/2(金)17:00–21:00
10/3(土)11:00–18:00
10/4(日)11:00–18:00
●会場
TAM COWORKING TOKYO
東京都千代田区神田小川町3-28-9 三東ビル1F(google map)
●入場料 無料
●トークショー
10/2(金)18:00 開始
予約不要・先着40名
*このテキストは2026年10月の「カナーレのこれまでと、これから 展」に寄せたステイトメントです。